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スペシャルゲスト対談:佐々木俊尚×西成活裕(1)

スペシャルゲスト対談 第1回 佐々木俊尚×西成活裕 「思いやり」で評価がアップ? 情報社会の生き方と渋滞学の意外な接点

MUJICOLOGY!研究所では、西成活裕所長の提唱する「渋滞学」を元に、ドライバーが「思いやり」を持って運転することによって、渋滞緩和や燃費向上、事故減少に繋がるという研究成果をさまざまな角度から紹介してきました。しかし、「思いやり」が大切なのは、クルマの運転だけではありません。私たちの日常と切り離すことのできないインターネットの世界でも他人のために行動することによって、情報が渋滞してしまう状況を防げるのです。今後さらに進化していく情報社会。そんな社会におけるこれからの生き方とは? 情報社会に詳しいジャーナリストの佐々木俊尚さんをお招きして、お話を伺いました。

テキスト:宮崎智之 撮影:豊島望

『東京オリンピック』を機に、日本を「思いやり」の国に

西成:「渋滞学」では、車間距離をあけたり、車線変更の際にゆずりあったりすることによって渋滞を緩和できることを提唱しています。「思いやり」の心を持つことで事故も防げますし、結果、目的地に早く到着することもできるんです。

佐々木:僕は普段からよくクルマを運転します。そこでいつも思うのは、車線変更や合流って、相手の顔すらよく見えないのにその場の空気を読んでスムーズに行われるじゃないですか。あれってよく考えてみるとすごく高度なことですよね。交通っていうと、道路の幅とかルールで縛る法律とかを思い浮かべてしまいますけど、そうした人間同士のコミュニケーションが根底にあることを忘れてはいけないと思います。

Cap:佐々木俊尚

西成:その通り。渋滞の問題を解決しようとするとき、すぐに「道を広げろ」「車線を増やせ」などの要望が出る。それが重要な場合もあるんですけど、それ以前に人間の運転挙動だったり、マナーだったりを改善することで解決できる問題もあると思うんです。

佐々木:日本の場合、何かが起きると、「責任の所在」が議論の的になります。そして、大抵は「国のせい」と言われることが多い。「道路を拡張しろ」など、改良を常にお上に対してだけ求めてしまうんです。自分たちのコミュニケーションを上手く操ることによって、その状況を改善していこうという発想が日本では少し弱いように感じています。

Cap:西成活裕

西成:まさに、おっしゃる通りです。

佐々木:交通問題から離れてみても、日本にはこれまで移民がほとんどおらず、同じ言語を話す同じ民族が大多数の環境で暮らしてきました。
でも、これからグローバル化が進んでいくなか、自分たちとは違う多様性を受け入れていくためには、「思いやり」の心が必要になってくる。2020年には『東京オリンピック』が開催されるので、いやおうなしに異質な他者と触れ合わなければいけない状況を日本人は久しぶりに体験します。まったく違う人たちとどう共存していくのかを学ぶ良い機会になると思いますよ。

西成:『東京オリンピック』は日本を変える良いチャンスですよね。まさに、おもてなし!

情報も渋滞する? ネット社会に求められる「交通整理」

佐々木:日本では「デザイン」というものを「がわ」のことだと思っている人が多いような気がします。家電製品で例えれば基盤や部品があって、それを「がわ」であるカバーが囲んでいる、と。でも、デザインは、「ユーザーインターフェイス / ユーザーエクスペリエンス(使い心地やユーザーの体験)」も含めた全体の構造そのものなんですね。

西成:それは道路設計でも同じです。車線が合流する地点より一定距離前に、車線変更を禁止する黄色い線を引くだけで、ドライバーがお互いの挙動を確認する時間ができるので、譲り合ってスムーズにクルマが流れるという実験結果もあります。つまり初めから「思いやり」を持ちやすいようにデザインするアプローチもあると思うんですね。

佐々木:なるほど。Facebookには「いいね!」はあるけど、「よくないね!」ボタンはないということと似ていますね。「よくないね!」ボタンを作ると罵り合いが始まる可能性があるので、コミュニケーションがポジティブに行われるような設計が初めからされているんです。また、ウェブの世界には2種類の「作り手」がいると言われていて、1つはページの構成などを行う大工さん。もう1つは大工さんが作った家を運用していく大家さんです。両方の作り手がいなければ、ウェブサービスは上手く回ってきません。

西成:日本は施設や道路などの「がわ」だけ作って終わりみたいな考えがありますけど、どう運用していくのかまで含めて「デザイン」と考える発想が必要かもしれませんね。

佐々木:そうですね。西成先生が研究されている「渋滞学」の興味深いところは、こうしていろいろなジャンルに話を派生させながら考えていけるところだと思います。
僕の専門分野から言わせてもらうと、現在進行している情報社会でも、「情報の渋滞」のようなものが問題になっています。マスメディアしかなかった時代と比べて、インターネットの登場以降は情報が洪水のように押し寄せてくるようになったことが原因です。

西成:道路には容量というものが必ずあります。1時間1車線につき2千台しか通れないのだとしたら、渋滞を防ぐためには上流の方で台数を絞るしかない。情報も人間が脳で処理できる量には限りがありますので、「渋滞」が発生してしまうということでしょう。

佐々木:さらに、受け取る情報が偏ってしまうのも、「渋滞」状態だと言えるかもしれません。新聞なら何かの記事を読んだら、いやおうなしに周りの記事が目に入ります。しかし、ネットの場合は自分で取捨選択できてしまうので、自分の趣向だけに偏った価値観の記事ばかりを読んでしまう可能性がある。それを防ぐためには、誰かが信頼できる情報を選び取って共有し、交通整理していくアプローチが求められます。僕はそれを「キュレーション」と呼んでいます。最近では、ビッグデータ解析の技術が急速に発展してきているので、自動的に情報をキュレーションするサービスも出てきています。

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