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エコドライブ対談 宮野滋×西成活裕

“燃費男”と“渋滞学の権威”が対談 お財布にも地球にも人にも優しい!エコドライブのすすめ

MUJICOLOGY!研究所では、西成活裕所長の提唱する「渋滞学」を元に、ドライバーが「思いやり」を持って運転することによって、渋滞緩和や燃費向上、事故減少に繋がるという研究成果をさまざまな角度から紹介してきました。今回紹介するのは、お財布にも地球にも人にも優しいエコドライブについて。燃費のギネス記録を持つ、まさにエコドライブの達人である宮野滋さんをお招きして誰でも実践できるエコドライブのお話しを伺いました。

テキスト・撮影:小松ひろ

自動車好きの医師が“金網の向こう側”の世界へ、そしてギネス記録達成

2000年に獲得したギネス認定証

司会:宮野さんは、『燃費男』の異名をとり、ギネス記録を持つエコドライブのスペシャリストですが、エコドライブをするきっかけは何だったのですか?

宮野:学生時代から自動車が好きでした。久留米大学の医学部を卒業し、入局前に1か月くらいの猶予期間があったので、最後の息抜きでヨーロッパ旅行をしたんです。その時、F1のモナコグランプリを見ました。初めて生のレースを見て魅力にはまり、“金網の向こう側”に行ってみたいと思うようになりました。

西成:お医者さんですよね?

宮野:はい(笑)。その後、チームドクターとしてル・マン24時間耐久レースに帯同するなど、モータースポーツに関わるようになりましたが、僕はクルマを速く走らせるよりも、チームをオーガナイズすることに興味を持ち始めました。そんな中、イギリス1周の燃費のギネス記録15.7km/Lを取り上げた雑誌の記事を見て、これなら僕でもできそうだと思ったんです。それで88年に初めて挑戦、92年に再挑戦し、27.93km/Lの記録を出し、1枚目のギネス記録を達成しました。99年にクルマとバイクの記録を分けるという通達がありましたが、2000年にホンダ・インサイトで挑戦した時にホンダCG125を一緒に走らせ、ガソリンのクルマ(36.33km/L)、ガソリンのバイク(74.44km/L)とふたつのギネス記録を達成しています。残っていたディーゼルの記録は、01年にルポ ディーゼル(42.29km/L)で達成しました

西成:記録を出すための方法論とは?

宮野:チームでやることです。一つ目のギネス記録の時は、二人が乗って、交代交代でまず1,000km走る。これ以上走ると肉体的疲労が出るからです。チームBに交代したら、最初に走ったチームAは宿泊してリフレッシュし、次の1,000km先に先回りする。

西成:リレーですね。

宮野:24時間を効率的に走り続ける必要があるため、レギュレーションの範囲内でいかに工夫するかが大事です。ドライバーの腕、体力というよりは頭の勝負。その次の挑戦ではさらに工夫をして、乗員をドライバー1人にしたり、チームを3つ用意したりしました。

西成:ドライバーはプロだったのですか?

宮野:いいえ。2001年に走ったドライバーの1人は、オートマしか運転していない普通の主婦でした。走り方のコツを教えたら、結構いいんです。体重も軽かった。

西成:重量は大事ですよね。ドライバーを1人にしたのも軽さのため?

宮野:はい。ただその後、ギネスがイギリス1周の燃費記録を扱わなくなってしまったんです。

司会:今、燃費チャレンジは国内でやっているんですか?

宮野:はい。ちょうどプリウスの第2世代が発売された時期で、プリウスで無給油1,600kmを超える人たちが出てきていました。彼らが『1,000マイルクラブ』というのを作り、僕もイギリスで1,000マイルを達成していたので参加させてもらっているんです。彼らは凄いですよ。いろんなやり方を考えていて、中には無給油で2,500km走らせる人もいます。

エコドライブの達人が伝授する誰にでもできるエコドライブテクニック!

司会:プリウス以外のクルマのオーナーが真似できる運転のコツ、テクニックはありますか?

西成:宮野さんの『燃費の本』を読むと良いですね。すべてのテクニックが出ています。

宮野:はい(笑)。

西成:私は渋滞が大っ嫌いで、いかになくすかを考えていますが、個人個人の走り方で渋滞がなくせると思っています。例えば、車間距離をとったり、3台くらい前のクルマを見て走るとかですが、これも全部『燃費の本』に書いてある。こういったテクニックは共通なんですね。エコドライブと渋滞緩和は表裏一体だなと、読んでいてビックリしました。

宮野:でも、実際は一人だけがエコドライブしても駄目で、全体でそうならないといけない。右折待ちをしているクルマがいて、その後ろに列ができているような場面がありますが、対向車が譲って先に右折させれば、小さな渋滞・停滞がなくなる。

西成:自分1台という側面では、対向車線で列ができていても譲らず走ってしまった方がエコだけど、トータルでは譲ったほうがエコになる。考え方でもエコドライブ、渋滞緩和はできる。

司会:西成教授、渋滞を防ぐのに有効なテクニックというのはありますか?

西成:平地のように走るのが理想です。渋滞は坂道で起こりやすいんですよ。上り坂なのにアクセルがそのままだとスピードが落ちてしまい、車間距離が短いと後続車に影響を与え、ついには渋滞になる。これが渋滞の原因の第一位。坂道での減速に気づき、いち早くスピードを戻すのが大事です。

宮野:エコという観点からも、上り坂では速度をキープするべきです。回転数が落ちすぎると効率が悪くなるから、ギアを落としてスムーズに上る。登りは燃費が悪くなりますが、下りで稼げば良い。その方が、トータルでみて燃費が良い。

西成:赤信号でも、ぎりぎりでブレーキを踏むのは良くない。どうせ青になるんだからと、早目にアクセルを放して惰性で交差点に向かう。すると、停車する前に信号が変わり、止まらずそのまま進めるかもしれない。以前、この状況での実験をしました。一方は『早めに減速して最終的に青信号に変わって停車せず』に進む。もう一方は『早目の減速をせず赤信号で止まり、信号が変わってから発進』する。両者を比較すると、燃費が40%違う。前者の方が、圧倒的に燃費が良い。

宮野:燃費は、動き出しの影響が大きいですからね。

西成:この走り方はエコに有効なのですが、実は渋滞を防ぐのにも有効なんです。

司会:車間距離をとり、加減速も小さく、その回数も少なくする運転ですね。さらに、瞬間の燃費ではなくトータルでの燃費を考える……、こういった運転のコツ・テクニックって、エコドライブも渋滞学も共通なんですね。

西成:そう思います。共通のテクニックである車間距離というのは、安全の観点から話をされることが多い。しかし、渋滞をなくすことにもエコにも繋がっている。

司会:逆に、エコドライブと渋滞緩和に共通する運転テクニックは、安全にも寄与するとも言えますね。先ほどエコドライブと渋滞緩和は表裏一体との言葉がありましたが、安全も含めて“三位一体”なのかも!?

西成:宮野さんは、エコドライブのテクニックとして、『スウィートスポット走法』を提唱しています。こちらの説明をお願いします。

宮野:エンジンの効率が一番良い状態で運転する方法が『スウィートスポット走法』です。効率が良いから当然燃費にも良い。ただクルマによってスウィートスポットには違いがあります。

司会:クルマごとに違うスウィートスポットは、どのようにすれば判りますか?

宮野:音で判断します。一番楽な状態で走っていると、エンジンは最小の仕事しかしていないので音は小さくなり、ロードノイズの方が聞こえてきます。一般的には50~60km/h前後の一定走行が一番燃費が良い速度と言われますが、この速度域で“一番エンジン音が静かな時”が、そのクルマにとってのスウィートスポットです。

西成:なるほど。ということは、クルマを手に入れたら、一度くらいは音楽をかけずにエンジン音に耳を澄ませるべきということですね。

司会:運転方法のほかにはどんな手法があるでしょうか?

宮野:エコタイヤもそうですが、空気圧も重要ですね。そのほか、僕もシビックを色々いじりましたが、39km/Lくらいまで上がりました。メニューはオイル添加剤、アーシングの追加などですね。

西成:メーターも有効ですよ。最近は燃費計があるメーターもあり、それがあれば“自分を知る”ことができる。

司会:燃費計があると、ゲーム感覚でエコドライブを楽しむことができそうですね。ところで、一般の人と、燃費マニアの人の運転するプリウスとでは、どれくらい燃費の差が出るものですか?

宮野:1リッターで10kmの差が出ることもあります。

司会:1リッターで10kmの差が出るということは、お財布に対しての影響も大きい!

宮野:ハイブリッドという装置がついている分だけ車両価格は高いですが、量産効果によって価格も下がってきました。日本で販売台数のトップ争いを続けているほどですからね。

西成:やはりランニングコストですよね。タクシーがプリウスに切り替えたのは、初期投資は確かにあるけど、ランニングコストの面で有利だからです。

宮野:燃費を考えればエコディーゼルという選択もある。でも近年は、ヨーロッパも都市部ではディーゼルの排ガスが敬遠されているのか、プリウスタクシーが増えています。EVタクシーが走っている場所もある。

西成:環境の意識が高まっていますね。これはヨーロッパに限らず、中国でもそう。でも、クルマがエコ方向に進歩するのも重要ですが、やはりマナーや思いやり、譲り合いが重要。クルマ同士が譲らず揉めていては、時間も燃料も無駄に消費するだけです。たとえば、合流部分というのは譲りあった方がトータルで得をするんです。我先にという走り方は全体が損をする。

司会:我先にという運転が停滞を作り出し、時間、燃料を無駄に消費する。それはつまり経済的なロスです。西成教授の本、『渋滞学』には渋滞による経済損失は年12兆円との記述もあります。凄い額です。

西成:一つの無駄ができると、それが後ろへ、全体へと波及するんですね。自分の周りだけという短期的な視点ではなく、もう少し広い視点で少し先を見ると、渋滞の面でも、ひいてはエコの面でも良い結果を生むんですね。

テクノロジーの進歩よりも大事なのは戦略、つまり人の問題

西成:自動運転が進歩すると、渋滞解消につながると思います。現実面ではまだまだ難しい部分もありますけれど。渋滞では先頭が早く抜けた方が良いんです。渋滞が早く削れるので。前のクルマが動いて自分も動くには、早い人で0.5秒、遅い人で5秒かかる。3台前をみて、早目に動くのが良いんですけど、なかなかそうはいかない。でも、自動運転ならこの時間が大きく短縮でき、スムーズに先頭が抜ける。つまり、渋滞対策になるんです。

宮野:僕自身は自動運転のクルマには乗りたいとは思わないんです。でも物流を考えると、トラックをカルガモ運転させられるなどメリットもありますね。

西成:ただし、専用道でないと何が起こるかわからないので難しい。

司会:アイサイトのような自動追従型オートクルーズなど技術は進歩していますが、あくまで人間が運転するのを補助するというカタチが現状でのベターなのかもしれません。とはいえテクノロジーの進歩により事故は減るだろうし、渋滞も減るという側面はある。

宮野:高齢化社会で必要性も高まるでしょう。僕自身は町中に住んでいるので、運転できなくなったら免許を返上すると思いますが。でも、クルマが必要な人は間違いなくいる。だから、自動タクシーといったものができれば良いのかなとは思いますね。

西成:もちろん、クルマをはじめとしたテクノロジーの進化も重要だけど、燃費記録の達成には戦略が重要だというのが面白いです。運転テクニックもあるんだけど、戦略が重要。頭の問題。

司会:宮野さんも、多国籍なメンバーのチームをオーガナイズしたことによって、戦略の重要性を気付かれたわけですからね。

西成:我々が運転する時も、自分一人ではなく、まわりを含めて“チーム”の一員として、エコドライブを実践し、かつ渋滞解消を図れれば良いですね。みんなで燃費を上げる、スムーズに走る!

司会:それがまわりまわって安全運転につながり、事故も防げる!お財布にも優しい!そういえば、車間距離の確保や譲り合いというのも、意識の問題ですよね。だから、それは私たちがすぐに実践できるものです。つまり、誰でもエコドライブは実践できる!そしてエコドライブの運転テクニックや心がけというのは渋滞緩和にも役立つし、事故を防ぐのにも役立つ。これはやらない手はないですね!

お二人の対談、いかがでしたでしょうか。
エコドライブ・渋滞緩和・安全運転は深く関連していることがお分かりいただけたのではないでしょうか。当社ではさまざまな活動を実施しながら、「無事故」と「エコロジー」を掛け合わせて生まれた「MUJICOLOGY!(ムジコロジー)」ということばを広め、対談の中でも重要とされていたドライブマナーの向上につながる情報などを発信しています。
今回ご紹介した地球にもお財布にも人にも優しいエコドライブを実践いただき、「MUJICOLOGY!」の目指す「エコで事故も渋滞もない素晴らしい社会」の実現にご協力ください!!

著作紹介
「渋滞学」(新潮選書):西成活裕(著)
「ガソリン節約のための燃費の本―エコドライブが楽しく続けられる!」(三樹書房編集部):宮野滋(著)

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